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- ITPの治療 -

トロンボポエチン受容体作動薬

ITP治療の参照ガイドにおいて、トロンボポエチン受容体作動薬はThird line治療に位置づけられています。Third line治療は、ステロイド薬や脾摘が無効(注5)の難治性ITP症例、患者から脾摘の同意が得られない症例もしくは合併症により脾摘が困難な症例、副腎皮質ステロイド不耐容症例に対し、実施されます。

(注5)治療効果の判定基準:無効(NR)
血小板数3万/μL未満または治療前値の2倍未満の増加、あるいは出血症状がある。

藤村欣吾ほか. 臨床血液 53; 433-442, 2012


(1)ITPに対し、トロンボポエチン受容体作動薬が効果を示す理由

ITP患者では血小板数が減少しているにもかかわらず、トロンボポエチン濃度が十分に増加していません。一方、再生不良性貧血では血小板数が減少すると、血中トロンボポエチン濃度が高くなります。このことから、ITPにおいては巨核球造血の刺激が不十分であり、トロンボポエチン受容体作動薬が効果を示すと考えられています。

宮川義隆. 血液フロンティア 19; 915-923, 2009

(2)ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬の開発

当初、トロンボポエチンのN末端側約半分のアミノ酸配列にポリエチレングリコール(PEG)を付加した遺伝子組み換え型ヒト巨核球増殖促進因子(rHu-MGDF)製剤の臨床試験が進められましたが、投与に伴う中和抗体の出現のために中止されました。

そこで、トロンボポエチンに対する中和抗体の産生を誘導しない第二世代トロンボポエチン受容体作動薬として、トロンボポエチンと異なるアミノ酸配列をもつペプチド化合物もしくは非ペプチド化合物の開発がさかんに行われました。そして2008年、米国において難治性ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬としてロミプロスチム(romiplostim)とエルトロンボパグ(eltrombopag)が承認されました。

(3)エルトロンボパグ(eltrombopag)

非ペプチド化合物(低分子化合物)で、トロンボポエチン受容体の膜貫通ドメインとの特異的な相互作用を介して、細胞内のJAK-STAT経路(注1)、MAPK 経路(注2)、の活性化を通じて巨核球の増殖と分化を促進し、最終的に血小板数を増加させます。

(注1)JAK-STAT 経路
トロンボポエチン(TPO) 受容体の活性化によりJAK(Janus kinase)2 チロシンキナーゼが活性化され、STAT(Signal transducer and activator of transcription:シグナル伝達性転写因子)1、3 および5 がリン酸化される。リン酸化STATs は二量体を形成して核内へ移行し、転写因子として機能することで細胞増殖に関与する遺伝子発現を増強させる。

横田 崇. 日本臨床  63; 187-192,2005

宮川 義隆ほか. 血液フロンティア 11; 559-566,2001
加藤 尚志ほか. 臨床医 25; 70-74,1999

(注2)MAPK 経路
TPO 受容体の活性化によりRas(GTP結合タンパク質の代表例) が活性化され(GDPを結合した不活性型からGTPを結合した活性型に変換され)、それによりRa(f Mitogen-activated protein kinase kinase kinase (MAPKKK):マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ)およびMEK (Mitogen-activated protein kinase kinase(MAPKK):マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ)が活性化され、p44/ 42MAPK(Mitogen-activated protein kinase:マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)をリン酸化させる。リン酸化p44/42MAPKは巨核球の分化に関与する蛋白や転写因子をリン酸化させる。

Geddis AE et al. Cytokine Growth Factor Rev. 13; 61-73, 2002
宮川 義隆ほか. 血液フロンティア 11; 559-566,2001

エルトロンボパグ(eltrombopag)
非ペプチド化合物(低分子化合物)
経口投与
トロンボポエチン受容体の
膜貫通ドメインと相互作用
2014年5月現在、EU加盟28カ国を含む98カ国にてITPに対し承認
レボレードの新しい作用機序 レボレードは、内因性TPOと競合せず、TPO受容体膜貫通領域と選択的に相互作用することにより、TPOと共通のシグナル伝達経路を活性化させて、巨核球の分化・増殖を促進させる。その結果、血小板産生が」増加する。
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